『逃げ水』の歌詞、"逃げ水"のウィキペディア説

逃げ水とは、風がなく晴れた暑い日に、アスファルトの道路などで、遠くに水があるように見える現象のこと。

劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』感想&レビュー(前半)

※この記事はネタバレを多分に含みます


最近めっきり更新しなくなったせいで、どこかのサイコにお株を奪われ完全にドルオタブログと化してしまいました当ブログです。天ちゃんです。

久々にオタクっぽいことを書きたいと思います。


ぶっちゃけ何個か映画レビュー書き溜めていたのですが(実写版かぐや様とかジョーカーとか)、どれも途中で燃え尽きてしまったので、今回は冴えカノのレビューをしようと思います。


さて、原作完結から2年、アニメ2期から2年、ようやくこの日がやってきました。マジで映画化決定から丸一年なんの音沙汰も無しだったので「おっ、丸戸蒸発したか?え、それだけはやめて…」と死ぬほどモヤモヤさせられましたが、遂に来ちゃいましたね。


まず内容の方ですが原作で言うと大体8巻?9巻?10巻?辺りから13巻まで+GS2.3とまぁそこそこ膨大な量を2時間にまとめた形ですね。


正直2期終わって劇場版発表された時、映画の枠でこれほんまに描き切れるんか?と思っていましたが、さすがは丸戸。…いやほんとに天才だよ…。


で、感想なのですが「本当に素晴らしいアニメ」でした。何回か死にかけました。もうね…それしかないですよ。以上、感想でした。

 

という訳でここからレビューの方をしていきます。


まずは冒頭。icy tailのライブシーンから始まりますが、ぶっちゃけ開始3秒で「あ、勝ったな」と思えます。心を掴まれるとはまさにこの事だと思います。作画と演出と矢作紗友里の歌がまぁ凄い。さすがアイマスを作った部署。あとこのicy tailの衣装すげぇ好き。


演奏してるバックではゲーム版冴えカノのOPが流れポスターも既に完成しており、倫也達のゲーム開発が順風満帆に進んでいることが伺えます。


続いて焼肉でライブの打ち上げ。オールキャラ登場でいかにも劇場版っぽい感じです。紅坂朱音も出ます。個人的に好きだったのは全員の前で詩羽先輩が倫也にキスしたのをバラされ、恵が黒化する所ですね。顔を上げる前の暗黒面に踏み込んだ表情、嫉妬感剥き出しで最高です。


原作でも後半はフラット恵からダークサイド恵に徐々にシフトするので、初見の時は遂にここまで来ちゃったかぁと心がほっこりしました。


時系列的にはこの時点で既にゲームの5√中、4√完成しており、残すは恵(巡璃)シナリオだけと原作をかなりすっ飛ばしています。そのため詩羽先輩が紅坂朱音にガン詰めされるシーンはありません。肉焼きながら朱音、英梨々、詩羽はガンガンに言い争います。個人的に伊豆合宿の話が大好きだったので少々残念だったのですがまぁ劇場版の尺なら仕方ないよね、と。


丸戸も劇場版ではここが描きたいんだという箇所に焦点を当てたと言っていたので「あぁ、もうこれは本当に恵の話なんだな」とこれから先の色々な展開を想起させられ胸が締め付けられました。


原作未読の方に補足しておきますと、まず伊織をディレクターに誘い入れるのに紆余曲折ありました。そして原作では英梨々と恵は絶交したままだったのでそれを解決するために、倫也が英梨々シナリオを書き上げたり、恵と英梨々が2人で温泉でしっぽりしたりと色々ありとりあえず英梨々√完成。続いて紅坂朱音に心を折られた詩羽を救うため、またも倫也が詩羽シナリオを書き上げ無事詩羽復活。同時に詩羽√完成。で、色々あって美智留√、出海√完成となりました。


この辺りの話は、本当に全てを失った倫也が、恵と2人で再び一から作り上げていくというサクセスストーリーになっており、かなり胸が熱くなるので未読の方は是非。


さて、劇場版ではそんなこんなは全て収束し、残すは恵√の脱稿のみとなったところから始まります。


さっきのぎゃいぎゃいやってた焼肉から打って変わって、ここからはBGMも少なくなり2人だけの会話がずーーーーーっと続きます。まずは倫也と恵。倫也がスランプに陥り、恵シナリオについて恵と延々相談するのですが、これ大スクリーンで観るのすげぇ恥ずかしいです。


しかも恵に至ってはナチュラルに倫也の家に上がり、ナチュラルに人の台所で飯を作り、ナチュラルに倫也の食べ残しを食う、と1期2期よりやりたい放題ですね。


しかもここ、恵が倫也の家に入る前に、手鏡でちゃんと自分の髪を確認しているんですよね。今までは合鍵で普通に入っていただけなのに、ここではワンクッションあるんですよ。前の嫉妬顔といい、恵の心情に変化が出始めてます。あんなにもフラットーフラットーだった恵が遂に女の子を意識し始める。ふぇぇ…


続いて、再び紅坂朱音の登場です。原作では電話で相談していましたが、ここではシナリオの事で詩羽先輩に相談に行ったがなぜか朱音に拉致られ面と向かってアドバイスを貰うということになっています。


それにより伏線が1つ追加されています。朱音が右手で酒のグラスを手に取ろうとして違和感を感じ、左手で取り直すという描写です。原作読んでる人はあぁ〜ってなります。紅坂朱音お前ほんといい加減にしろよ。いや好きなキャラですけども。


しかし紅坂朱音、劇場版ではかなりいい人になってますね。原作でもいい人ではあるのですが、倫也の前で詩羽をガン詰めするシーンが無くなったため、アニメでは倫也は一度も朱音の真の恐怖や狂気を見ずに終わってます。せいぜいオナニーの連呼くらいですね。オナニーしろ、少年。いい言葉です。確かに生天目仁美はどっかの丸戸脚本でオナニーしまくってましたもんね。


場面が代わり再び倫也と恵のイチャ…会議シーンです。なんかもう究極の純愛ですね。基本ずっと会話してるだけなのですが、お前らそれベッドの中で2人きりで話せよって感じのラブさです。2人きりですが。


さて、ここは原作と劇場版だと少しテイストが異なるのですが、根本は同じです。基本的に倫也と恵の過去イベントを2人で振り返りながらああした方がいい、こうした方がいいとシナリオの改善に努めるわけです。


原作では、恵とデート中に詩羽のところに行ったり、恵をほったらかしにし英梨々の病気にかけつけたりと倫也の悪行が軒並み書かれています。そしてここぞとばかりに、黒い、けど自称重くない女こと加藤恵は倫也をネチネチイビりはじめます。あーこれは良くないよねぇ〜、ここ最低だよねぇ〜みたいな。それに対して倫也もその都度絶叫しながら謝罪の言葉を連呼したりと、バカップルも大概にせぇやという感じです。


このように、原作では恵の方が立場が上で、倫也の言動の非を倫也に考えさせようとします。劇場版ではここは少しマイルドになっており、倫也に渋々付き合いながらもうちょっとヒロインのこと考えて欲しいよね、みたいに針の先っちょでツンツン突く感じです。


しかしどちらともずるいのが、ゲームをより良くする名目で恵は主人公の言動に注文をつけるのですが、これ完全に恵が思っている倫也の直して欲しい所なんですよね。普段、恵は絶対自分からは言わないんですよ。倫也の失言に対しては、なんだかなぁの一言で曖昧に返しどちらかと言うと倫也に自分で気付かせたいスタンスを保っていました。ですがここの恵はかなり踏み込んで斬りかかってきます。巡璃の言葉を借りて、女子の一般論に落とし込んで、あくまでも自分の要望ではない体として。倫也が鈍感なのをいいことに。


また劇場版でめちゃくちゃ良かったのが、視聴覚室で倫也が恵を説得するイベント(2期8話)の話になった時です。

恵「これって√分岐前のイベントなんでしょ?だったらこの時点で既に巡璃は主人公のこと意識してるんでしょ?そんなの私認められないよ」

倫也「いや俺はここは絶対譲れない」

結果恵が拗ねる

この一連の流れはなんかもう心臓を掻き毟りたくなりましたね。この後も、そんなんじゃ巡璃√入れないよ〜と煽ったり、恵が倫也の顔見ていたいからと言ってスカイプつけっぱで倫也に作業させたりと色んなものが透けて見えます。いや透けてねぇな。


また、ここで2人の会話の中で「転」についての話が出てきます。これはGS3巻で詩羽と恵が対立するシーンで出てきた話ですね。恵は出来るだけ平凡な日常を送りたい。起承転結の転はいらない。その代わり幸福もそれくらいでいい。苦難を乗り越えた先にある幸福なんていらない。しかしここでその話をするって完全にフラグですね。残り1時間半あって無いわけないだろ、と。


そんなフラグも立てつつ、イチャイチャはまだ続きます。日が変わって駅のホームでシナリオのためだからと手繋ぎイベを実行する倫也と恵。やってみないと分からないよ…じゃないんだよ。今までずっと冴えカノは下半身で会話するとよく言われていましたが、ここに来て遂に指でセックスするようになりましたね。なんかもう恵√一直線ですね。


そして、そんな恵√も最高潮に達します。恵の誕生日にデートしようと倫也から提案され、恵は絶対行く…と答えます。ここの恵、幸せの絶頂って感じが滲み出てますね。しまいには、どうなっても知〜らないよ〜とか言っちゃって。


しかしこれ完全に抜け駆けなんですよね。詩羽や特に親友である英梨々に対し内緒で倫也とただのデートをする訳ですよ。原作ではより詳しく書かれていますが、本読みでノリにノってしまって、これ以上こんなこと続けてたら本当に元に戻れなくなる→だから一度本読みは中断しよう→でも恵に会いたいからデートしたい、と倫也がガンガン詰め寄ります。つまりもうゲームのためとかシナリオのためとかいった建前はないんです。そして、その結果が恵の「知〜らないよ〜」な訳です。


今まで加藤恵は、誰かの意志を踏みにじってまで前に出ることはない女の子だったのですが、ここに来てそんなものは知らないと言ってしまいました。たとえデートした結果、英梨々や詩羽を裏切るようなことになってしまったとしても、そういう流れだったから仕方ないよねと。ここに関してはGS3巻にて恵自身が解説しているのですが、基本的には恋愛よりも友情を大切にする。しかし肝心な時にはそれが50-50になる。マジでずるい女の子です。でもこれが英梨々や詩羽に無かった恵だけのメンタリティなんですよね。だからこそメインヒロインでいられた訳です。


さて、ここから件の「転」になります。


紅坂朱音が倒れ、倫也の下に電話が来てしまい、恵はデートをすっぽかされます。そして朱音が倒れたことにより詩羽と英梨々の状況がかなり危なくなります。原作ではこの辺りの登場人物は朱音、町田さん、倫也の3人でしたが、劇場版ではさらに伊織が加わっています。そしてまずは伊織と町田さんでなんとかしようとするも失敗。そして代わりに倫也が抜擢され大阪に出向くことになります。勿論自分のサークルを放り出して。


当然ブチギレの恵。おててセックスした駅のホームで静かに倫也を糾弾します。さらに、こんな時どんな顔したらいいのか分からないの…と言わんばかりに、恵自身も対応に困って泣き出してしまいます。恵からすれば、英梨々が倒れた時の一件から、次から何かあったときは必ず自分に報告・相談・連絡をしてくれと約束していたはずなのに、またそれを破られてしまいました。倫也は報告・連絡はしたものの肝心の相談をしていません。結果、恵は遂に倫也が分からなくなり、あなたのメインヒロインにはなれないと言って去っていきます。


ここは当然倫也が悪いです。紅坂朱音が倒れた辺りから、誰もが「お前、分かってるよな…?行くなよ?絶対行くなよ?」と心で叫んでいたと思います。まぁ、それでも行くのが倫也なのですが。というか行かせるのが丸戸シナリオなのですが。

 

さて、ここまでが物語の前半です。

思いの外長くなってしまったので前後編に分けました。後半の方も近いうちに上げたいと思います。

それではひとまずここで。

 

執筆者 : 天ちゃん